昔からよく「かかとから地面に着く」歩き方が正しい歩き方といわれてきました。
膝を伸ばして、必ずかかとから着地する、しかも大股で歩こうと、いまでも歩き方教室などでは、こうして指導しているところも少なくありません。
具体的に言うと、「かかとから着地して小指側に体重を移動して、次に親指と人差し指で蹴り出す」この運動の繰り返しだと理解している人が多くいます。
私の経験からすると、実はこれがいちばん危ない歩き方なのです。
何回もいいますが、かかとから着地するということは、それだけ過剰な衝撃とねじれが体に繰り返されて、次第に損傷が蓄積されていくということなのです。
実際、何も意識しないで自然に歩いてみてください。
足裏はかかとから着地するのではなく、かかとと小指、そして親指、そして親指の3点をほぼ同時に地面に着けていることがわかると思います。
かかとが先に着いているように感じるのは、おそらくかかとにかかる力が一番多くなるので、そう感じるのです。
かかとが50%、小指と親指で各25%というイメージです。
ということは、この3点歩行によって体に伝わる過剰な衝撃やねじれを和らげているのです。
誤解を生んでいる「かかとから着地する」歩き方だと、過剰な衝撃やねじれという介達外力がまともに体に伝わり、日常生活やスポーツなどで反復、繰り返されることで、原因のはっきりしない痛みや体の不調を引き起こしているのです。
そして、悪い歩き方を続けていると、ますます悪化して、取返しがつかなくなります。
少々専門的になりますが、体内にいろいろな命令を出す神経の多くは、脊椎から出ていて、各臓器へと伝わっていきます。
かかと着地による地面からの衝撃によって、脊椎の軟骨が変形したり破壊されたり関節や骨格が歪んだりすると、その先にある神経や循環器への伝達がうまくいかなくなります。
その結果、本来体の動きをもっとも効率的に保つための調整機能や内臓機能の動きを低下させてしまうわけです。これが体が不調となる根本的な原因になっていたのです。
もともと人間の体には、体を細菌から保護する「免疫力」と、悪いところを見つけて自分の体内で治す「自然治癒力」が備わっています。
体が普通の状態のときにはこの働きが正常に機能していても、足と首の異常で、自律神経の働きが低下してしまいます。
体の歪みがあると、本能的に重力とのバランスを、より回復しようとして首や、背中、腰、全身に何倍もの余分な力を入れる事になります。
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